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2005-12

もろはくからエルミタアジュ。そしてじゃばら。



もろはくを出てから、
12月1日にやはり久しぶりに訪れて、
オーナーバーテンダーの中田 耀子さんに、
感動的な一杯のカクテルをご馳走になった
(12月2日の本ブログ参照)
オーセンティックバー
「ドゥ・エルミタアジュ」に忘れ物をとりに行った。

御用納めの12月28日の午後11時近く。
さっと忘れ物だけを手にしておいとまもできず、
ていうか、あこがれのバーテンダーの店に立ち寄って、
用件だけで立ち去れるほどクールな人間ではないので、
当たり前のようにカウンターに腰掛けた。

すると「じゃばら」という果実のカクテルを薦められた。

じゃばらは、柚子でもカボスでもない。
日本で唯一、和歌山県東牟婁郡北山村で生産されている幻の果実。
果皮は柚子に似た香り。
130gくらいと小さく、生産量は少ない。
ビタミンCが豊富で、皮まで使える、
捨てるところのない優秀な果実だとは後から調べた。

そのじゃばらを使った、ギムレット風のカクテル。
中田さん自らがシェイカーを振ってくださったのだが、
ひと口でトリコになった。
独特の苦みのある、酸味の強いギムレット、と言おうか。

2005年の師走は、二度も中田さんに泣かされた。

終電を気にしてビルを飛び出すと、
心地よい酸味がさらに追いかけてきて、
師走の慌ただしさが少しだけ優しく感じられた。

誰にともなくつぶやく。
「良いお年を」zyabara.jpg

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もろはくとは。



日本酒は、麹を造るための米と、仕込みに使うお米、
その2種類の米(麹米と掛米)から作られています。
かつて日本酒の作りでは、「片白」という、一方が黒い米、
つまり玄米を使っていました。

「諸白(もろはく)」は「両白」とも書きます。
両方とも白いという意味です。
つまり、麹米と掛米のどちらも精白した米を使っている、
現在の製法をさします。
玄米酒を除けば、現在の日本酒はすべて「諸白」です。
室町時代に諸白が生まれ、酒の味は飛躍的に向上したと言います。

ちょっとウンチクですが、
札幌で「もろはく」といえば、
浜口マスターの日本酒バーのことを指します。


●札幌市中央区南3条西6丁目 インフィニ桂和22ビル6階
 写真は「もろはく」浜口 恭行オーナー。

ご本人の名誉のために言いますが、オーナーのお許しを得て、
私の携帯のカメラで撮った、レベルの低い写真です。
ご本人はこの百倍ダンディーで素敵です。hamaguchi.jpg

もろはくにて。


「もろはく」は、
12年前の開店時に取材させてもらった日本酒のショットバーだ。

記事を書いたのは2回ほど、それから何回かは客として足を運んだ。
きちんと調べたことはないが、
日本酒や酒蔵についての一般的な理解が広まったとはいえ、
日本酒専門のショットバーが現在でもそうたくさんあるとは思えないし、
12年前なら全国的にも相当に珍しい存在だったはずだ。

移転して9年経つというのに移転後初めてお邪魔したのだから、
随分とご無沙汰してしまった。

「声を聞いてすぐ分かりましたよ、ホシノさんって」
と浜口 恭行オーナー。

常連には遠く及ばなかったので、覚えていてもらえるなんて、
まったく考えていなかった。
「当時あんな記事を書いてもらったからこそ今があるんですよ」

その「今」はまさに繁盛店そのもので、
40名ほど収容できる店内の混雑度合いはもちろん、
客層の広さを見るにつけても、
こちらまで誇らしい気分になってくるほどだった。

知る人ぞ知る長野県松本市の酒蔵「大信州」に作らせている、
プライベートブランド一杯で退散するつもりだったが、
遅れて出てきた突き出しがワインのオードブルのように美しく、
おいしそうだったので、もう一杯お薦めの芳水をいただいた。


「もろはく」も、JAL SKI 2006 「北海道を味わいつくす」に、
新年登場(文字情報だけですが)の予定です。kikoan.jpg

hosui.jpg

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いつもおそばに。

 
年内最後の札幌のお昼は、蕎麦になった。

風の色の新しい仲間の佐々木ひさしが、
東京の修業から戻った12月23日に帰還の会を開いた「喜香庵」。
今取り組んでいる JAK SKI 2006「北海道を味わいつくす」 で、
新春早々12日に取材をさせてもらうことになった、
今もっともお気に入りの蕎麦屋さんだ。

自分でも蕎麦を打つ私は、蕎麦がないと生きていけない。
酒は蕎麦屋で飲むのがこの世で一番うまいと思っている。
いわゆる「そばや酒」の世界が好きでたまらない。

北海道は日本一の蕎麦の産地だ(生産量)。
北海道の蕎麦粉は、
値の張る国産蕎麦粉の中でもブランド品と言えるほど人気が高い。
輸入品と比べると3倍4倍もの価格だ。
ただし、名産地イコールうまい蕎麦屋目白押しの土地柄とは、
残念ながらいえない。
蕎麦そのものの品質や蕎麦打ちの技術は相当で、
店主もその道の追究者と言わんばかりのご様子なのに、
相棒のつゆがまったくその蕎麦についていってないとか、
「そばや酒」ってなーに? の有り様だったり…。
東京を礼賛して江戸の風を吹かすつもりは毛頭ないが、
やっぱりこれは「お江戸の文化」なのだと思ってしまう。

そばや酒のつまみで言えば「特別なもの」であってはいけない。
居酒屋の品書きとも一線を画すのだ。
というのは、そばや酒のつまみはそばのタネだからだ。
うなぎ屋さんでうなぎが焼き上がるまで、
肝焼きで一杯やるように、
品書きに鴨なんばんがあるから、鴨をちょいと焼くとか、
とじそばがあるから、かえしと合わせてだし巻き玉子を作るとか、
おかめそばがあるから、かまぼこをつまむとか、
天ぷらそばがあるから、そこから蕎麦だけ引き算して、
天ぷらとつゆだけ(「天抜き」という)で一杯やるとか…。
つまり、蕎麦屋らしい酒の肴とは、
焼き海苔だったり、とろろ芋だったり、
蕎麦屋ならもともと置いてあるものばかりだ。
特別ではない、とはそういうこと。
それら、そばのタネが酒とまた良く合う。
最後にそばで締めるまで、ちょいとやるのがいいのである。

もちろん、まず、そば自身が、立派な酒肴である。

だから、だらだら長々と飲んだくれてはいけない。
「長っ尻はなしよ」という訳。
この「ちょいと」が粋(いき)につながる塩梅だ。
これがむずかしい。
酒を飲む作法ばかりではない。
江戸風の濃いそばつゆは、そばの先っちょに少しだけつける。
どっぷり全体をつけたくても、ちょいとだけ。
だから江戸っ子が、
「死ぬ前に一度だけそばにつゆをたっぷりつけて食べたかった」
なんていう笑い話も存在する。
江戸っ子ぶるとか、粋がる、っていうのは、
究極やせ我慢の世界なのだ。

格好つけるのも結構大変だ。

あまりに蕎麦と蕎麦屋の酒肴の取り合わせがおいしくて、
もうちょっと、もう一杯と思っても、
ぐっとこらえて席を立つ。
蕎麦屋でぐでんぐでんは野暮というもの。
私にとって、どんなにこのやせ我慢のむずかしいことか !!

海外のハードボイルドなんてのも、
ところ変われど、
アホな男どものやせ我慢、格好つけの世界なんだ。
そのアホさ加減が愛すべきかわいらしさなんだろう。

だから、「そばや酒」と、
昨今増えてきた「蕎麦(屋風?)居酒屋」とは根本的に違うのだ。

でも、あまりにも求道者の眼差しを丸出しにした蕎麦屋もいただけない。
立派過ぎ高尚過ぎては、くつろいで酒なんか飲んでらんないぜ。
この辺の「ほどの良さ」がまたむずかしい。
だって、たかが蕎麦なんだから。

ちなみに北海道の人がよくそばつゆのことを、
「たれ」というけれど、あれはまったく許されざる間違いである。

せっかく生産量日本一を誇る北海道なのだから、
たかが、しかし、されどの蕎麦屋さんが増えることを、
蕎麦好きの一人として心から激しく願ってしまうのでした。


写真は「喜香庵」さんの玄関(マンションの2階ですよ!)
素敵な蕎麦とそばや酒の予感に満ちていると思いませんか?
●「喜香庵」札幌市中央区南3条西17丁目 すずかけビル2階
日本航空ホームページ/JAL SKI 2006 に2月登場予定です。kikoan.jpg

kikoan.jpg

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