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2013-07

10月20日『水の惑星』横濱降臨。

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馬頭琴演奏家のチ・ブルグットと出逢ったのは、2007年秋、内モンゴルの首府フフホトのホテルだった。企画者とリポーターとして関わっていた北海道文化放送のミニドキュメントで一曲弾いてもらったのが、その後現在まで続く彼との交流の最初だった。かつて同局で制作された周年記念の大規模なドキュメンタリ-番組に、彼の父親と若き日の彼が出演していたのをプロデューサーからいただいたVTRで観ていた。改めてこの父と子の話を聞きたいと思ったのだ。

彼の父親は偉大な馬頭琴奏者で、中国国家第一級演奏家(日本の人間国宝にあたる)の肩書きを持つ。幼いときから父親であると同時に、馬頭琴の師匠であり、偉大なる先達であり、彼は何かと父親と比較されたという。なかなか越えることのできない父親に付いて言及する時、彼らの民族の根源に関わる草原や馬や父子が演奏する楽器の存在を抜きにすることはできない。

北京オリンピックが開催された2008年夏、チ・ブルグットは当時小学生と幼稚園生の息子を伴って、馬とゲルを手段とした父子の旅を敢行した。内モンゴルの草原を越えて北京まで二週間の道程。そのゴールの果て、オリンピック開会式の舞台で父と子はモンゴル民族の誇りを胸に共演した。

その翌年の2009年夏には、彼の家族や友人の子供たちと共に、ブルグットの故郷である内モンゴル西ウジムチンの草原にお邪魔した。夏の数日間を日本の子供とモンゴルの子供たちが交流した草原サマーキャンプは、僕の胸の中にも大きな何かを刻み込んだ。

裏面web用

2010年はじめ、ブルグットから「ストーリーのあるライブを創りたい」という相談を受けた。
僕の中に、小曲を積み上げて全体を成す「組曲」という発想が浮かび、散文とも物語ともつかない文章を書き始めた。ごく自然に、これまでブルグットから聞いたり、草原で感じたことが素材の中心にあった。ある父と子の姿を通して、連綿と続く、地球上のどこにでもいる父と子を描くことはできないか。

しばらくして彼の率いるバンド『Hemell/ヒメル』と初対面したのは渋谷ハチ公前だった。

その後も僕の上京のたびに彼らと話を重ねながら、彼らが僕の文章を、そこから受ける心象なりインスピレーションを、それぞれが曲に仕上げて行くことになった。何度かリハーサルを行い、曲が熟成をはじめると、練習スタジオを借りて僕がビデオカメラで収録するという作業が続いた。なんの後ろ盾も予算もその後のアテもない作業ゆえ、費用のかさむ「レコーディング」という形態は選べなかった。

ましてやメンバーそれぞれがヒメル以外に音楽家としての活動の場を持っているので、必然ヒメルのために裂く時間の優先度は低く、組曲づくりの速度は亀の歩みだった。

しかしながら、ブルグットのメガネにかなった楽曲は、都度 YouTube にアップされ、国内のみならず、次第にアジアを中心とした各国からのアクセスを集めるようになる。かくいう僕は、なんの予備知識もなくある楽曲を聴かせた際、その人がとつぜん涙を流すような経験もした。

昨年末、最初に集ってほぼ丸三年が経ち、楽曲も十数曲を数えるようになった。
その曲たちを僕が受け取り、今度は僕がそれらに触発されながら全体を見渡し、物語を成立させるための言葉をふたたび紡いだ。

かなり早い時期から『水の惑星』をライブに仕立てる際には、演奏のみならず、ナレーションという形態かは別として、曲と曲を繋ぐ『言葉』を表現の手段に加えようという話が出ていた。映像を用いては?といった話も出ていた。

そして、2013年中にどんな規模でも良いから『水の惑星』を発表しようということだけ決まった。

今春までに僕は、出揃った曲を何度も何度も聞き直し、整理し並べ替えた。
そこに新たな言葉を書き下ろし、原稿にしてメンバーに渡した。
それを読んだ、素晴らしい楽曲を書いた敬愛するメンバーたちがこう言ってくれた。

「これを星野さん自身がしゃべるのはもちろんだけど、それをあらかじめ録音しておいて演奏と合わせるとか、舞台袖の影からナレーションするとかではなくて、僕らと同じ舞台の板の上に星野さんはずっと一緒に居て、演奏と語りがセッションするような、そんなライブにするべきだね」


かくして、2013年10月20日ヨコハマ創造都市センター。
僕の故郷であり、ヒメルの多くが棲んでいる町横濱で『組曲“水の惑星”』は産声を上げる。
そうして、もうひとつの野心がある。横濱からこの楽曲を持って水辺の町をめぐり、いつかは移り住んで二十年を超えた第二の故郷小樽まで繋いで行きたい、という。
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