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2014-04

最後の江差線。

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僕はまったく世に言う“鉄男”くんではないのだけれど、木古内から江差まで走るJR江差線には思い入れがある。そのきっかけはかれこれ二十年弱前までさかのぼる。そのあたりを書くと長くなるのでここでは割愛する。

三、四年前には、あるテレビ局のドラマプロデューサーを務めている友人との話で、沿線を舞台にしたドラマの草案を書いたこともある。残念ながら彼は北海道局の人間ではなかった。その江差線が五月十二日で廃止になる。そのこと自体は2012年の9月頃に発表され、片隅にとめながら、時間が過ぎて来た。

そうこうしているうち、最後の日まで一ヶ月を切ってしまった。
このところそのことがどんどん頭をもたげて来ている。
この十数年、いつかこの話をドラマ化してやろうと思い続けて来た。
ああ、なぜどこかの局に話を持ち込まなかったんだろう。

物語は鉄道が主役ではなく、その鉄路に添って流れる天の川と、その川が流れる上ノ国(かみのくに)という町が舞台である。この界隈は道内でも最も早くから開けた地域で、北海道で一番古い民家なんてのも存在する。倭人もそうだけれど、アイヌがもっとも早くから生活をしていた地域のひとつでもあるらしい。当然双方の民族のぶつかり合いも多くこの地で起きたことだろう。

函館も近くキリスト教も古くから伝来してはずだから、上ノ国界隈、天の川周辺にはたくさんの神様がせめぎあっていたに違いない。言ってみれば上ノ国は神の国ではないか。そんなこんなが物語の底流にある。

「最後の」というと、にわかに人が殺到したりする。
最後の青函連絡船。最後のブルートレイン。最後の…
関わりも、思い入れも、世話になった現実もないのに、暇にあかせて「最後の」を見てやろう、乗ってやろうという輩が三日も四日も前から徹夜で並んだりする。そのお陰で、たとえば連絡船の船長の家族が、お父さんの最後の勇姿を目撃出来なくなったりする。

こんなに人が集うなら、辞めることはなかったのではないか。
そんな錯覚に陥ったりもする。本当に惜しむ人のために野次馬は遠慮しろ!

そんなことを思いながら、江差線の最後を見届けたいと思う自分がいる。
人様を野次馬呼ばわりしたところで、じゃあ自分はどうなのさ、と自己嫌悪がやって来る。

しばらく葛藤が続きそうだ。

http://jr.hakodate.jp/event/esashi/
http://amanogawa.donan.net
http://article.wn.com/view/WNATcc1ec4a14dbaa9c5b878dbb4ad177d4e/

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幕を引くということ。

IMG_0983.jpg

三十二年と聞いて改めて勘定してみると、僕が最初の就職で東京の広告代理店に入社して今年でちょうど三十年なので、昨日終了した番組が始まったのは、その二年前ということになる。

当時、僕の会社ではタモリさんと日野皓正さんを起用した男性化粧品のCMシリーズを製作しており、そのブランドから発売される新商品のために、新しいキャラクターを起用した新しいCMを製作することになった。そのチームの末端にいた僕も企画提案に参画させてもらったのだけど、長い長い紆余曲折の果てに、なんと僕が推薦した候補が最終のプレゼンテーションで決定してしまった!

前年に放映されていたドラマ『昨日、悲別で』(倉本聰脚本)に主演した天宮良さんだったのだけど、まだ彼はそのドラマを観た人にしか認知されていない頃で、文学部演劇専攻で倉本聰さんと山田太一さんをテーマに卒業論文を書いた僕くらいしかその存在をしらなかった。実際、上司にもクライアントにも天宮良を知る人は居なかったのだ。

新作CMは世界の日野皓正と新人天宮良の出演で製作することになり、何年も日野さんとコンビを組んでもらっていたタモリさんには降板していただくことになった。あの時の緊張を覚えている。お前がタモリさんに引導を渡したのだから、とタモリさんの所属事務所である田辺エージェンシーに、部長と課長のお伴をして降板のお願いに行ったのだった。

新しいものが華々しく生まれる背後に、こうした地味で胃の痛くなるような作業が存在するのだということを社会人一年生の僕は経験させてもらった。

僕も自分が担当した番組の終焉に立ち会ったことがある。
生命あるものには必ず終わりがやって来るということ。
その瞬間をどのように迎えるか。
どう心構えをするのか。

弥生三月別れの季節を乗り越えて、
四月卯月は出逢いの季節になるのか。

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