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2021-04

瀬戸 國勝 さんがやってきた!

はし


昨日から、札幌の百貨店・丸井今井で開かれている「加賀百万石展」に併せて、恒例の「瀬戸國勝個展」が同時開催されている。
1988年の大晦日に能登半島は輪島の瀬戸さんの店「てふてふ」で出逢ってから18年、1996年の札幌丸井今井「加賀百万石展」で衝撃の再会を果たしてから11年が経過した。
昨日、会場にご挨拶にお邪魔したが、昨年の同じ頃に瀬戸さんについて書いた文章を採録した。

(以下、「大晦日のてふてふ」より)


1988年の大晦日、僕は能登半島の輪島にいた。

東京西早稲田のアパート、一人暮らし。
年末年始の酒はドクターストップを受け、
恒例の年越し北海道も諦めていたのだが、
発作的にクルマを北上させた12月30日は、
新潟で日本海にぶちあたり、そこから西へ、
勢いで富山駅までやって来てしまった。
その晩は駅前でおとなしく一泊。

で、翌大晦日はふらふらと石川県の輪島までたどり着いちゃった。
飛び込みの民宿のおばさんの、じき晩ご飯ですから、
の言葉に見送られて、朝市で有名な街をそぞろ歩く。

夕暮れ頃、
一軒の雑貨店で漆塗りの箸などを眺めていると、
後ろから声がかかった。
僕はその年最後の客だったのだ。
店じまいを告げられるのだと思っていたら、
声の主はこう言った。

「これから仲間うちで蕎麦を食うんですが、
 よろしかったら一緒にどうです?」

この手の誘いを、僕は絶対に断らない。
焼き物や塗り物を陳列した棚のある店の中二階に通されると、
三々五々、街の顔役らしき旦那衆が集まって来る。
次第にこの集まりの様子がわかってきた。
彼らは月に一度、
この店「てふてふ」で旨いものを食す会を開いている、
ちょっとうるさ型の面々らしい。

「こいつは料理の天才なんだ。今日は年納めに、
 こいつが栽培、製粉、手打ちした蕎麦を食べる」

どうやら僕は、想像以上に最高の大晦日の宵を迎えたようだ。
天才の蕎麦は、たぐった「そば」から香り立ち、
鮮烈な切れ味で一瞬のうちに僕をトリコにした。

一度は絶滅しながら甦ったといわれる、
隣の珠洲市のざらざらした珠洲焼きを棚からおもむろに取り出し、
誰かがそれでいきなり本わさびをすりおろし始める。
なんだか、とても大人な夜にまぎれ込んでしまった。
主人は見るからに逸品と思われる一升瓶を掲げ、
「いけるんでしょ。なかなか手に入らない酒ですよ」と奨める。

この手のお酌を、僕はもちろん断らない。
うまい蕎麦、うまい酒。
幸福感が加速する。
二十九歳の暮れ。


足もとをふらつかせながら宿に帰り着いたとき、
夕食の時間はとっくに過ぎていた。
ふと、ドクターの顔が浮かんだ。

ぐい飲み


という訳で、瀬戸さんのお話の第二話(「新年の丸井今井」より)です。写真は私の瀬戸作品コレクション。

(「大晦日のてふてふ」からの続き)

1996年1月、僕は塗り物のぐい呑みに見とれていた。
札幌の百貨店・丸井今井「加賀老舗展」でのこと。

1992年7月から、僕は小樽市民になっていた。
東京の会社を辞め、アパートをたたみ、横浜の実家を離れた。
札幌の出版社にもぐり込み、少しは北海道生活に慣れてきた頃だ。

「いいでしょ、その器」と後ろから声がかかる。
なんとなくこの状況、その声、どこかで…。
斜め後ろへ振り返ると、やはり覚えのある顔がそこに。
忘れもしない8年前の輪島の大晦日、
生涯で最も強烈な蕎麦のもてなしの記憶。
「てふてふ」のご主人だった。

「かあさん、ほら覚えてる?」
と話しかけた先には、あのときの奥さんがいた。
「うんうん、えと、お名前は確か…ホシノさんよね」
びっくりした。まさか名前まで。

「てふてふ」主人、瀬戸 國勝さんは、
この8年の間に漆器作家としての評価を一気に高め、
作品は「サライ」「ミセス」などのクオリティの高い雑誌等々で
広く紹介されるようになっていたのだった。
恥ずかしながら、全然そんなこと知らなかった。
僕にとっては、ただ、8年前の大晦日、突然見知らぬ僕を招き入れて、
蕎麦と酒をふるまってくれた、素敵なご夫妻でしかなかった。
それもたったひと晩のご縁。
しかも、あのとき僕は東京在住の横浜人で、
お逢いしたのは石川県輪島市。
それが8年後、
小樽市民になった僕と札幌でばったりなんて…。

「坂本は覚えてる?」

もちろん。あの料理の天才のことだ。
「坂本は何年か前から、輪島の隣の珠洲で旅館を始めたんだ。
 一日三組限定。うまい料理を囲炉裏端で食わせる。
 これが当たっちゃった。必ずあの蕎麦も出すんだよ。
その宿で僕の器も使ってもらっているんだけど、
 風呂も僕の作品でね。漆塗りなんだ。この前もサライに載ってたな」


そば


ボクと瀬戸さんとのなれそめ、その第三話です。
昨年に書いた「新年の丸井今井」からの再録です。
(以下、再録文)

その年の暮れ、
僕は能登半島に向かった。
輪島に一泊、珠洲の「さか本」で二泊。
瀬戸さんの漆の風呂につかり、
囲炉裏端で和を中心とした圧倒的な「坂本料理群」に舌鼓を打ち、
「あの蕎麦」に再会して感涙にむせんだ。

※ 「さか本」は、2月6日発売の雑誌「和楽」3月号に掲載されるそうです。 興味のある方はぜひ !!

●注釈/これは2006年です。ご覧になりたい方はバックナンバーで。


それから毎年一月は、丸井今井の「加賀老舗展」に足を運ぶ。
もちろん瀬戸夫妻に逢いに行くのだ。
旨い物をいただきに一緒に街へ出た年もあった。
実は今日も顔を出してきた。
何年か前から、瀬戸さんの出品は物産展を離れて、
同時開催の「瀬戸 國勝 個展」という形に昇格している。
昨年は、ニューヨークの高島屋で個展を開いた。


ほんの少しずつだけど、
ホシノ家の食卓に瀬戸さんの作品が増えてきた。
ぐい呑み、椀、醤油差し、そばちょこ…。

現在、札幌丸井今井一条館8階にて、
「瀬戸 國勝 展」開催中(1月16日月曜日まで)。



●注釈/2007年は1月15日月曜日までです! 
 ぜひ、お運びください!!
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