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2021-04

瀬戸国勝さん、一平、そしてエルミタァジュ。

 
昨日まで札幌の百貨店、丸井今井で個展を開いていた漆器作家の瀬戸国勝さんとは、1988年の大晦日に能登半島の輪島にある、彼の店「てふてふ」で出逢った。
それは僕がまだ東京のアパートで一人暮らしをして、東京の広告屋をしていた横浜人の頃で、1992年の夏に、何の縁もゆかりもない北海道小樽に移住してしまったのは、ひとえに今年年男であるボクがまさに計画性のない「イノシシ」だったからだ。

移住後の1996年1月に前述の丸井今井で瀬戸さんと衝撃的な再会をしてしまってから11年。当時の瀬戸さんは「加賀老舗展」という物産展のいち参加店であったけれど、その前後で急激に作家としての評価を高めていった瀬戸さんは、数年後からは「加賀老舗展協賛、輪島 瀬戸国勝 漆展」として華々しく昇格された。

個展で各地を旅している瀬戸夫妻は、自他ともに認める食いしん坊で、日本中のうまい店の抽き出しをたくさん持っている。お二人の口からは、九州や四国や東北やさまざまな場所の、それも和食に限らず、フレンチでもイタリアンでもおいしいお話が途切れることなく溢れ出すのだから。もと横浜人のボクに、全くボクが知らなかった、感動してひっくり返ってしまうような横浜の小さな小さな焼き鳥屋を教えてくれたりする人なのである。

札幌が世界に誇るすし業界の巨匠にして、昨年は雑誌「オトン」や「一個人」でさんざんお世話になった嶋宮勤さんの「すし善」でも、人間国宝級の作家の器や美術品とともに瀬戸作品が使用されている。

そんな瀬戸さんにお店を紹介するのは勇気がいる。
ところが、11年前に再会を果たして、最初にご夫妻をお連れした店をお二人がたいそう気に入ってしまった。百貨店の催事のために7つの夜を過ごした札幌滞在中に、6日間通った年すらあったというのだからその惚れ込みようがお分かりいただけるだろう。

谷木 紘士さんの「おでん 一平」である。
瀬戸さんに話を聞いたお嬢さんや、お国の重要文化財の仕事をしている食通の表具師さんやらが、一平を楽しむだけのために飛行機に乗ってやって来る。
かつて取材をさせてもらって、谷木さんにも、一平にも激しく惚れ込んでいるボクとしては冥利であるけれど、65歳の谷木さんと62歳になる瀬戸さんは「創る」仕事をする男同士として共鳴し合っているご様子で、間を取り持ったということだけが功績であるボクとしては、自分の凡人を痛感して少々嫉妬気味でもある。

昨晩、一年ぶりに瀬戸夫妻と一平のカウンターにいた。
「なんかさ、先生とか呼んでくれる人がおるけど、名前で呼ばれた方がよっぽどうれしいのになあ」と瀬戸さん。
「先生なんかになったらつき合わねえよ」と谷木さん。
奥さんが嬉しそうに間の手を入れる。

おでんの感動に加えて、瀬戸さんのおかげで、常連の中でもワンランク上の証しのような「別口」の逸品が次々にカウンターに供され、幸せが加速する。
恒例になったこの時間が好きだ。

「そろそろ乾いた酒でも飲みますか」なんていう瀬戸さんの合い言葉で、二件目にバー、元気が残っていれば最後にラーメンの年もかつてあったけれど、ここ最近は一軒でおとなしくご帰還ということが多い。
昨晩も一平さんを出て、明日は大阪・梅田阪急デパートに向かうとお二人と名残を惜しみつつお別れした。

nakata.jpg


なんとなくおさまりのつかないボクは、年に数回だけどそんなときに立ち寄る、中田燿子さんの「ドゥ・エルミタァジュ」に顔を出した。
二年前に亡くなった忠海光朔さんの「仔羊亭」は、切ないとき、やるせないときにシェルターのように駆け込んだものだけれど、中田さんのバーには、少し嬉しいとき、その幸福感を持続させておきたいときにお邪魔することが多い。

一杯目はジンペースでオレンジとレモンのさわやか系。
二杯目は最近のオリジナルで、さる粋人の常連客が名付けたという「ラ・ガンヴィ」。イタリア語で「苦い酒」の意味だという。ベルモットのドライとロッソ、シェリー酒のフィノを用いたイタリアとスペインの競演だ。

三杯目。茹でたプチトマトのオードブルが目においしそうで、中田さんに「これに合いそうなカクテルを」と無理を言った。
中田さんは、くせの強い独特なスパイス・アニス系の香りがするリキュール、ブラックサンブーカとカンパリ、シシリー産のライムで即興の一杯を作ってくれた。

軽めの二杯の後に、瀬戸さんご夫妻と、一平、谷木さん、そしてこの優しいエルミタァジュとの夜を締めくくるように、中田さんのやや強めのインプロビゼーションでキリリとフィニッシュ。

トマトとの相性?
幸せはさらに加速した、と申し上げておきましょう!

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