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2021-04

小樽雪あかりの路 ~ みのかさやの想ひ出2

minokasaya.jpg


小樽の盛り場は花園。
その花園一丁目、JRの高架線の近くのとある小路は車が通れない。冬になったら除雪も入らない。だから、路の雪は降っては固まり、冬の深まりとともにだんだんその路は真ん中だけ標高が高くなってくる。その路に沿って長屋のように連なった数件の小さな飲食店の入り口は、だから多い時で路より1~2メートルも低くなってしまう。それぞれの店主はスコップで路に雪の階段を作ってわが店への導線を確保しなければならない。

ボクは冬にこの小路を歩くのが好きだった。

高架側から向かっていくと、「阿呆亭」「せっせっせ」そして、「みのかさや」とそれぞれ個性的な行灯が連なる。その行灯の灯りは、夏からすると随分と目線の低いところに存在している。しかも、てっぺんが少し丸まった馬の背中のような雪の小路は、注意して歩かないと両側の谷へ落ち込んでしまいそうだ。

雪に覆われて、雪で盛り上がった冬の小路。
そこに沿って見え隠れする行灯と、その遥か下の路の麓に存在する店の実態。
麓からこぼれ出し、雪を照らす店の灯り、立ちのぼる湯気。
これは、まさに後年の「雪あかりの路」だった。

「みのかさや」の行灯も店のたたずまいも、この小路の中で群を抜いた非日常的な異彩を放っていた。昭和35年に広地 聴寿さんが開いたホルモン焼き肉の名店だ。

「みのかさや」は、正しくは、漢字の「傘」の字の中に、ひらがなの「の」が三つ。三つの「の」の傘で「みのかさや」と読む(写真参照)。むろんこれは、店主による造語である。

七輪がすっぽりと収まるよう、その形にくり抜かれた分厚いカウンターの向こうに、いつもニコニコ笑いながら広地さんは座っていた。すっとぼけた言動で客を「煙に巻き」ながら、客が「舌を巻く」ような、すごい肉を提供する広地さん。

ボクはいまだかつて、牛の心臓にあれほど度肝を抜かれたことはない。

そのほかにも「みのかさや」を訪れるたびごとに、味、人、モノ、その他、たくさんの驚きに出逢った。この店を単なる焼肉屋などと呼んでいいものか…
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