FC2ブログ

2021-04

大塚の内モンゴル。

20070416144250.jpg


先日まで、三月の東京出張のエピソードを何回かに分けて書いていたのだけれど、その間に雑誌の発売や新しいお仕事に関連したこともはさみ込みつつ、また諸々立て込んで更新が遠のいていました。すみません。

もう、1ヶ月経ってしまったので「六日のアヤメ」どころの騒ぎではないが、3月の13日は出張中二度目の内モンゴルのバト君との約束の日だった。
母国の先輩が大塚で店をやっているというので是非!ということになったのだ。これからいろいろ内モンゴルで「事を起こす」もくろみの風の色としては、もともと札幌の大学に留学していたのが縁でボクらを自らのふるさとの草原に連れて行ってくれた学究肌のバイさん(48)に次いで、バト君(30)の若き感性には大切なブレーンになって欲しいと願っているのだ。

JR大塚駅のホームから見えるビルの一階にその店はあった。その名もチンギスハーン! ビルの入り口の扉を入ってすぐに靴を脱ぐと、もうひとつ入り口がある。そこに足を踏み入れた途端、えええ??おおお!!!と驚愕が走る。確かにボクらはビルに入ったのに、そこは巨大なゲルの中だった! 

ボクらが去年、一昨年と宿泊したバイさんの故郷、アルデレス原生草原のゲルは大人3、4人が寝泊まりするのにちょうど良いサイズだったのだが、大塚のゲルはなんと7~80人はゆうに収容できるほどの大きさである。天井もかなりの高さだし、外周に沿ってびっちりとモンゴルの民族衣装がかかっているのは、この店を訪れた客人は必ず ? この衣装を着て飲食するシキタリだからなのだ!!

 
ボクは東京の広告屋さん時代の先輩と後輩もお誘いしていたのだが、二人とも最初はどう振る舞っていいか勝手が分からず、少々どぎまぎしていた。そりゃそうでしょう。草原でゲルに寝泊まりした事のあるボクでさえ、この演出には度肝を抜かれた。

「さ、これから次々と料理が出てきますから、どんどん食べて飲んでください!」

バト君の先輩がそう言うと、本当に次から次へとモンゴル料理が出現した。それも現地で食べたまま、という印象のものばかりだ。

強い酒がまわりだすと、床にペタリと座っているこの状況が実に心地よく感じられて来る。日本のちゃぶ台での食事感覚にかなり近いからだろうか。

そんな頃、先輩が「ではそろそろ歌を歌いましょう」と切り出す。もちろんカラオケではない。モンゴルの人はおもてなしの心を歌で表現する。よく来た、さあうんと食べて飲んでください、と。そうした気持ちをふるさとの歌に託す。だからボクらも「日本の歌」を返す。うまいとか下手とか、まったく問題ではない。というよりもむしろ、カラオケ屋さんでよく見かける「イヤイヤ、ワタシ、ウタハ、チョット…」的な、自分の歌唱力の程度や、TPO、主義主張に裏打ちされた遠慮の仕方はここでは似合わない。気持ちには気持ちで返すばかりである。
気がつくと、ひとりが最低でも一曲は歌っていた。

20070416144326.jpg


隣の先客は日本人の若いカップルだったのだが、彼氏の方はいつの間にか肌もあらわなモンゴル相撲の出で立ちに強制的にお色直しさせられていた。反対側の背広の紳士は、内モンゴルから東京に働きに来ているビジネスマンで、今宵皆さんにあえたのは実に嬉しい! と上手な日本語でいいながら、笑顔で歌を歌いつつ、ひとりひとりに酒をついでまわっている。その杯を受けたら最後、ボクらは必ずや一気に飲み干さなくてはならない。


昨秋の内モンゴル以来、久しぶりに本来の「酒と歌」の喜びに酔いしれた。
カラオケ屋でありがちな、他人の歌などまったく聴かずにただ一心不乱に自分の選曲に没頭している様子はどこにもない。それどころか、お互い、相手が語りかけているその気持ちを、意味を、内容を理解しようと、コトバの分からない相手の母国の歌に一所懸命に聴き入っている。そして、気持ちは不思議に伝わってくる。

「ホシノさん、とても酒強いね」「いえいえ、そんな」なんて言っているうちに、すっかりボクは酔っぱらっていたらしい。バト君がわざわざ国から持ち帰ってきた酒のお土産を、ボクは店に置いてきてしまった。しかも翌日それを電話で詫びていたら「店で解散したあと、忘れ物に気づいてボクは大塚駅でホシノさんをつかまえて手渡しましたよね」と言われてボー然、ガク然。それも覚えていないどころか、再び受け取った大切なお土産を、結局ボクはどこかで…。お詫びの電話をしながら、二重の赤っ恥をかいたボクは、北海道のお土産を配りまくり、空になってからはカメラその他を入れて、その日一日後生大事にぶら下げていた紙袋に目をやった。カメラこそ無事だったものの、その袋はびりびりに破れており、その中身はずいぶん目減りしているように思われた。

20070416144508.jpg


同席していたカラオケ好きの後輩キタゴーから深夜にメールが来ていた。
「タイトル:いい酒だった/異国の人との酒の酌み交わしは滅多に無い事。でも今日は感動しました。マスターの素敵な唄と、引き付ける話。バド君の誠実な人柄。国内でこれだけ感動したのだから、現地で、果てしない地平線、満天の星、歓待の酒と唄…そんな状況になったら僕はどうなるのでしょうか。
久しぶりにそんな素敵な気分に浸れて、楽しいです。
内モンゴル自治区、取り急ぎ世界地図を見たい。そしてマスターも言ってた、遊牧民としての歴史的背景もひもときたい。
そんな素敵な場をありがとうございました。本当にいい酒でした」

スポンサーサイト



● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://azumashikikuni.blog16.fc2.com/tb.php/203-2be7acf9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

モーツァルトの周辺。 «  | BLOG TOP |  » すし善 嶋宮 勤さんと晩餐。

カレンダー

03 | 2021/04 | 05
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

プロフィール

azumashikikuni

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

FC2カウンター

FC2ブログランキング

FC2 Blog Ranking

全記事(数)表示

全タイトルを表示