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2021-04

山頭火の夜1

朝飯

8月最後の土曜日、僕はCMロケで旭川にいた。
空港にタレントさんやヘアメイク、スタイリストさんを迎えにいくまでに時間があったので、久しぶりに山頭火の本店でラーメンを、と思ったら店が変わっていた。でも、ウロウロするほどは余裕がなくってその初めての店ののれんをくぐった。

カウンターだけのこじんまりした店の、Lの字の角に陣取った僕のはす向かいに、中年のご夫婦らしきがラーメンを食べ終わろうとしていた。

“ネギたっぷり、鶏レバご飯とラーマンがベストマッチ”の「レバノンセット」だとか、“とにかく麺が太い醤油味”の「短太固そば」など、味噌塩正油の普通のラーメン以外の一風変わったお品書きに興味を引かれたが、こうした小さな冒険で後悔する機会の多い僕は少々ためらった後、でもやっぱりちょっと変わった「トマトとレタスの味噌ラーメン」を注文した。

味噌

「トマトとレタスの味噌ラーメン」をカウンターの中のお兄さんに向かって発注したその瞬間、はす向かいのご夫婦らしきの男性の方が、いきなりカウンターの中に入って調理を始めたので僕は驚いてしまた。え? 店の人だったの?

たっぷりのトマトとレタスのどんぶりの中に、さらに擦りおろしチーズとタバスコを投入する。かなり不安もあったが、そんな予感は大はずれ、今回の小さな冒険は大成功だった。具材からすれば、まったくのイタリアンなのだが、それは決してパスタのたぐいの味ではなく、あくまで味噌ラーメンであり、日本の味覚であったところにぐっときた。

うまい! を連発する僕に、調理してくれたひげ面のおじさんもご満悦の様子。いいでしょう、と言わんばかりにニッと笑った。さらに、

「この味噌はね、奥さんが味を決めたんだ。なかなかでしょ」
と、先ほどの相方さんを指して言った。

それから僕らはしばし言葉を交わした。そして、そのおじさんが、国内に50店舗、アメリカにも5店舗を展開する、かの有名ラーメン店「山頭火」の創業者、畠中 仁さんであることが分かって来た。

畠中さんは、創業から20年経ち、モロモロが定着している「山頭火」ののれんではできない冒険、遊びを、この店で楽しんでいるのだと言う。

ライスカレー

「この店ではね、カレーも出してるんだ。それも、今風のエスニックやスープとかでなくて、そば屋で出てくる、ルーの黄色い奴さ。和風なんだ。そうだ、ちょっと食べてみて!」

という訳で、カレーの試食と相成った。
おお、これがまた、見事に黄色い。あんまり難しい理屈はなく、市販の2種類のルーの調合が基本だと言う。出されたソースと醤油のうち、僕は迷わず正油をぶっかけてみた。そいつが懐かしいようなやるせないような感覚で舌を喜ばせてくれた。

「そうそう、僕もこいつには醤油だと思うね」と畠中さん。さらに、「ねえ、時間ないの? ちょっとコーヒーでも? あ、仕事で空港? そうか、じゃ、ちょっと携帯出して。番号。今鳴らすから。それ僕の番号。ね、僕も夕方から人と約束あるけど、よかったら電話ちょうだい。呑もうよ」

すべてが早業のようだった。(続く)

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