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2021-04

小春おじさん2

小春おじさん3

カウンターの左奥、僕から一番遠いところに座っていたSさんが突然、僕の右隣に座っていた人に話しかけた。

「Fさん、しばらく。ちょっと紹介していいですか?」

Sさんから紹介されたのは、清田区の市民部で地域振興の課長さんをしているFさんという人だった。Sさんは、「Fさんとホシノさんが並んで座っているのを見て、こりゃあ引き合わせなくちゃ、共通点が絶対たくさんあるぞっ、てね」と言った。

Fさんは、札幌市が運営する札幌コンサートホール「KITARA キタラ」の設立準備室で、同ホールの立ち上げに関わった方だった。自らもクラシックギターの奏者であり、様々な音楽活動に携わってきたという。

札幌コンサートホール「KITARA キタラ」は、1997年7月4日にオープンした音楽専用ホールで、先に誕生した東京のサントリーホールを何かと参考、お手本にしたと聞いていた。

僕は東京の広告屋時代にサントリーの仕事に携わっていた。中でも「生演奏のある展覧会/サントリー音楽文化展」という、10年続いたクラシック作曲家の展覧会シリーズは、ちょうど僕の在籍と重なっており、この仕事のおかげで,モーツァルト研究の大家、世界の海老沢敏教授とヨーロッパを取材旅行に行くような幸運にも恵まれた。僕の仕事キャリアの中では、不相応なほど燦然と輝くものだと自負している。

そんなこともあり、サントリーホールやサントリー美術館とは浅からぬご縁もあって、Fさんの口からでる、その周辺の方々のお名前は僕にとっても懐かしく、それは奇遇であるとひとしきり盛り上がった。

Fさんは小樽商大の出身。小樽運河保存運動の勇で、先般、日本建築学会文化賞を受賞した峯山冨美さんとも懇意であるという。峯山さんといえば、16年前に小樽市に移り住んで来た僕が、もっともお逢いしたいと思い続けてきて、かなわなかった方の一人である。94歳のご高齢だが,近々Fさん企画の町づくりの講演会に,元気にお話をされるという。僕は、来月行われるというその講演会に、絶対に参加させてくださいと声をうわずらせた。ちなみに、峯山さんのお名前は、私の母と字も含めて全く同じだ。

そして、Fさんは大の蕎麦好きであるという。
同じく蕎麦気違いの僕が、「横濱に帰省するときには、羽田からまず神田のまつやに直行することすらあります!」と言うと、
「え! まつやさんを知ってるの? 僕は東京の仕事の帰りに立ち寄って、あそこから羽田に向かうことが多いんだ!」
星の数ほどある蕎麦屋の中で、最も愛する蕎麦屋まで一緒だったと、またひとしきり…。

Sさんの小春で、バト君やHさんそっちのけでFさんと話し込むような形はさすがに少々まずい気がして来た。なにしろ、Fさんも話し好きで,話に途切れ目がない。ひと足先に店を出ることになったFさんが、「偶然これを持っていたんだけど,良かったらホシノさんにもらって欲しいんだ」と冊子状にまとめられている雑誌のコピーを差し出してくれた。

それは、季刊の札幌人という雑誌に数回にわたって掲載された、キタラの誕生にまつわるFさんの文章だった。
一応、文章を書くことを仕事にしている僕が見ても舌を巻くようなエッセイがそこにあっただけではなく、キタラにパイプオルガンを導入するためにフランスアルザス地方に出かけて行った旅のエピソード等、Fさんが、いかに深くキタラ誕生に関わっていらしたかがよく分かった。

クラシック音楽に関連した話題が多かったのに、60歳のSさんともう一人の小春の常連である59歳のFさん(見えない!!)との出逢いが嬉しくて、僕の心の奥の方では、その晩ひそかに陽水の小春おばさんがエンドレスのBGMと化していた。



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