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2021-04

霜月の同級生。

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先日、一枚の絵葉書が届いた。

葉書の送り主は、横浜市立本町小学校で同級だった人で、インターネットと戯れているうちに、偶然僕の会社のホームページ、そしてそれをきっかけにこのブログにたどり着いたと言う。卒業以来、逢ったこともなく、名字に見覚えもなかった。送り主も「もしや、あの、ホシノくんでしょうか?」と。

こちらも葉書を返して、紛れもなく同級生と判明した。十二歳で卒業として三十七年。僕らが二年生から六年生まで同じクラスだったなんて、言われるまで忘れていた。それどころか、父の勤め先や、母が書道家だったなんてことまで覚えてくれていただけでなく、当時僕が教室で西郷輝彦や尾崎紀世彦の歌を歌っていたとか、中でも驚いたのは、昭和四十五年の十一月二十五日に、三島由紀夫が市ヶ谷の自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げた翌朝、クラスの誰も聞いちゃいないのに、一人興奮してそのことを教室で話していた、そんな記憶まで披露してくれた。

昭和四十五年は、十一歳。おそらく小学校五年生のはずで、今から三十八年前ということになる。当時僕の家は読売新聞をとっていたのだが、翌朝の新聞に、同志から介錯を受けた三島の頭部の写真が掲載され、賛否の嵐となった。僕はそれを見てしまったために、たいそう興奮していたと思われる。それは覚えているのだが、五年二組の教室で、昭和四十五年の十一月二十六日にそれをまくしたてた記憶はぜんぜんなかった。

三十七、八年も前の、自分でさえ覚えてない出来事を、鮮明に覚えていてくれた存在。しかも、携帯も、パソコンも、インターネットも、どうもね、性に合わないから、と常々表明してきた自分に、そうした所謂“IT革命”なしには、北海道と横浜という距離以前に、一生なかったはずの、その存在との突然偶然の「再会」が訪れた。口惜しいかな感動した。いや、そんな簡単な表現では足りないほどの衝撃を受けた。

そして、その存在。同級生という甘酸っぱい響き。
小中高の頃の同窓会というものにおよそ縁のなかった僕が、(一浪一留しているが)卒業二十五年ということで、先月末、大学の集まりに顔を出してきた。それと前後して舞い込んできた一枚の葉書。今年は、というか、自分も「ふり返る」年頃になってきたということなのか…

敬愛する漫画家、柴門ふみさんの言葉を思い出した。
「テニスも将棋もファミコンも、同じ程度の技の相手とやるのが一番面白い。実力伯仲、切磋琢磨して五勝五敗。これが一番おもしろいのです。最初から相手の手の中、または、徹頭徹尾優位にコトのすすむ勝負に何の面白味がありましょう(『同級生』あとがきから)。

特に学生の頃、女子は男子なんて子供っぽくて相手にしてくれない。大人になっても年上のオジサンに憧れ、若い男も激しく年下の少女や逆にお姉さんに走るのは、勝負を逃げていること。恋愛は、対等の同い年同士のぶつかり合いが一番面白い。が持論の柴門氏の文章。たしかに、五十を目前にして「再会」する同級生はちょっと感慨深い(物理的には逢っていないけれど)。

おとといの土曜日。
連載を持っている雑誌の取材で、7、8人の小学五年生の取材をした。その時の写真を整理しながら、ふと思った。
活発で素直でにぎやかな小学五年の『同級生』たち。
昭和45年11月25日の憂国忌から38年。
僕が、誰も聴いていないのに三島のことを話していた朝は、38年前の11月26日であり、僕の同級生は38年前の僕の戯言を鮮明に覚えてくれていたことになる。
昭和45年11月26日のホシノケイスケの朝を覚えてくれている人は、どう考えても、世界中探し回っても、この人をおいては他にいないと思う(まあ、母親とかは除いて。僕は一人っ子でもあるし、尚さら)。土曜日の小学五年生たちの中に、平成20年11月29日の同級生の言動を愛情をもって見つめ、何十年ものちになって、記憶している子がいるだろうか…


去年の十一月二十六日は、母親を横須賀の病院から、小樽の施設に移送した日だった。


今日から師走 ―。




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