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2021-04

創業四十一年、樽を知る。

樽41周年

小樽在住十七年目に突入した酔いどれのボクが、小樽で最も愛すべき酒場は? と問われたら、まず「樽」と答える。呑み屋でも居酒屋でもない。どうしても、酒場と呼びたい。その樽が、昨晩四十一周年を迎えた。今日からは四十二年目。

一番最初は、小樽の写真家、志佐公道さんに連れて来られた。もう六、七年前になるだろうか。僕自身は分かってくれそうな人にしか教えてあげない。最近では、僕を峯山冨美さんと引き合わせてくれた清田区地域振興課長のFさんや陶芸家のEさん、家具職人のMさんをお連れした。そのとき、十二月一日に周年披露があるからぜひ、と店主の中嶋さんに初めてお誘いを受けた。

中嶋さんは東京生まれの東京育ち。高校を卒業後、二年ほどぶらぶらした後、二十歳で小樽商科大学に入学するために小樽に来た瞬間から小樽に惚れ込み、在学中からこの店をはじめた。小樽っ子の奥さんをめとり、間もなく50年になる。


何年か前、午前三時過ぎだったろうか。
ほかにお客はいなかったっけ。
つまり、もともと小樽っ子ではないふたりになった。

お互いだいぶ酒もまわり、
ひとしきり映画談義に花を咲かせた後、
うっとりしたような目つきで中嶋さんが言った。

「ねえ ほしのさん
 ほっかいどうっていいよね
 おたるっていいよね」

端正な顔立ち。おだやかな語り口。今でも小樽と映画が大好き。



午後七時過ぎに樽を尋ねると、いかにも年季の入った常連が席を埋めていた。カウンターの上に小樽の酒、北の誉の一斗樽。無造作に投げ込まれた二本の柄杓(ひしゃく)。中嶋さん手作りの鰊漬けと奥さんが作った切り干し大根の大皿。それが昨晩のすべてだ。鰊と切り干しは少し減るたびに大鍋からつぎ足される。

入り口から一番奥のカウンターの端に、自分で樽から注いだ升酒をたずさえて腰を下ろす。小鉢に盛られた塩を升の隅っこに載せて、中嶋さんにお祝いを言って口をつける。切り干しと鰊漬けを頬張る。そうしているうちに、次々に先輩常連たちが一升瓶や金一封を手にして扉を開ける。

どう切り上げても切り捨てても、僕が一番の若輩者(単に年齢だけでなく)であり、今宵は一人きり、先輩のお供でもないので、僕は三十分強で席を立った。他の店ならこんな気遣いはしない。無粋なボクが自然にそのようにふるまってしまうのは、やはり店の力だと思う。

よい店は、「樽(足る)を知る」ことを教えてくれる、ということだろうか。


これから長い歳月、
通って通って通い詰めた頃、
もう少し平常心で諸先輩と肩を並べることができるかも。

それまで中嶋さん、
樽をずっと続けていてくださいね。





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