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2021-04

一月の一平。

三つ葉とわかめ

社会人1年生の時、古巣の広告代理店の初仕事は、某化粧品会社の男性用メイクアップ用品という画期的な新商品のCM製作だった。

トランペットの世界の日野皓正さんと競演する若者のキャスティングが、紆余曲折の末、僕の提案した天宮良さんに決定した。文学部演劇専攻だった大学の卒業論文で、倉本聰さんと山田太一さんをテーマに取り上げた僕にとって、オンエアが終了したばかりの倉本ドラマ『昨日、悲別で』に主演していた天宮さんは、実に新鮮で魅力的なキャラクターだったからだ。

そしてさらに、天宮さんが当時所属していたタップチップスの代表赤尾マーサさんから倉本聰さんを紹介してもらい、サントリーオールドのCMシリーズが誕生することになる。以来、倉本先生とサントリーさん、そして僕の古巣のコマーシャル三者契約は四半世紀に渡り、その間に先生の主宰する富良野塾塾生の生活を切り取った雑誌広告のシリーズや、北海道新聞掲載のエッセイ広告シリーズ、先生の様々な舞台への協賛等々、長いおつき合いが始まる。

前述の通り、そのきっかけを創ったのは僕だ! という密かな自負がある。誰も褒めてくれないので密かなのであり、きっかけはきっかけに過ぎず、それを永いおつき合いに紡いで来たのは僕の敬愛する上司たちの仕事ぶりゆえということも理解している。でも、一度くらいはそこを思い出してよ、と今でも思っているのは事実だ(笑)。

シメサバに数の子

さて、枕が長くなってしまった。
先の日記にもしたためた能登輪島の漆器作家瀬戸國勝さんを、札幌のおでんの一平にお連れしたのは、かれこれ14年ほど前になる。道外のお客さんを飲食店に誘うとき、「いかにも北海道的」な店になることはやはり多い。能登からのお客さんをおでん屋さんに紹介するのは勇気がいったけれど、一平はただのおでん屋じゃあない。ただならぬ料理屋である。その当時、雑誌の取材をさせてもらったばかりの一平の谷木紘士さんは、僕にとってあまりに素敵な職人であり、ジャンルを問わず、ここ以上に素晴らしい食の店は考えられなかった。


谷木さん

その狙いは的中して、瀬戸ご夫妻は見事に筋金入りの一平ファンになる。その熱の入れようは、一週間の札幌滞在中に6回通った年があったとか、ご夫妻のお嬢さんも一平のおでんにとり憑かれ、このおでんを食すだけのために京都から飛んで来たりと、エピソードは尽きない。

谷木さんは谷木さんで、瀬戸さんの個展会期中にふらりと足を運び、瀬戸作品を購入。その後、僕が一平を訪ねると、そっとその漆器でおでんを出してくれたりする。粋な親爺なのだ。

お二人は同年輩で、ジャンルこそ違えど、創造の世界にいるもの同士、互いの仕事を讃え合い、尊敬し合い、そこに深い絆が生まれたようにお見受けしている。そうなると、凡人の僕は、凡人ゆえの卑屈さで、お二人の素敵な関係を横目にして、ため息をつく。もう僕の出る幕はないや。お二人を引き合わせたのは僕なのになあ。

もちろん僕はよく分かっている。
どちらも大好きな仕事人なのだ。
それもこれも、きっかけはきっかけに過ぎない。
ご縁を繋げられたことこそ冥利。

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