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2021-04

句会『舟』事務局、伊勢さんと門仲の夜。

河本2

二月五日金曜、僕は羽田から木場に直行した。
吉田類さんの句会『舟』事務局、伊勢幸祐さんとの待ち合わせだ。

伊勢さんとは昨年十一月に、吉田さんの句会ご一行が小樽吟行にいらした時に知り合った。その後、僕が師走の浅草の句会に赴き、今回で三度目。二人だけでお逢いするのは初めてだ。一度ゆっくり二人でというお誘いを受け、吉田さんゆかりの店をご案内いただけることになった。

吉田さんの『酒場放浪記』に近々登場するという木場の「河本」は、午後六時半、あいにくの満席。その古色蒼然たる偉容に、外観だけでも圧倒される。店内は一瞬かいま見たのみだったけれど、ただならぬ空気が感じられた。河本は午後八時には閉店してしまうので、今回は断念せざるを得ない。

しばし歩いて門前仲町『大坂屋』。
月島の「岸田屋」、森下の「山利喜」、千住の「大はし」の老舗三店に、ここ「大坂屋」、立石の「宇ち多」を加えて「 東京五大煮込み」というらしい。こじんまりした変形カウンターだけの店内に全員ネクタイをした御仁がすし詰めになっている。でもさすが名店の常連は違う。自分を奥の片隅に追いやって、僕らのために場所を空けてくれた。

さっそく煮込みとサッポロラガーで乾杯。
吉田類さんの右腕の案内で、絶品煮込みをいただけるなんて。
岸田屋、山利喜、大はしはかつて訪れたことがあったので、伊勢さんのおかげで五大煮込みの四軒目までは達成できたことになる。

永井荷風を愛し、東京の町歩きをライフワークとする伊勢さんは、一日の散歩の終わりに良き酒場を訪ねるのを旨としている。東京の西の果てから東の果てまで脈絡もない行き当たりばったりの酒場放浪で、何度も何度も遭遇したのが吉田類その人だったとか。そうしたご縁で、今は盛況を誇る句会『舟』は、お二人を含む、たった三人の酒場談義から始まったという。

三軒目に連れて行ってもらったのは、同じく門前仲町の『だるま』。元旦の『酒場放浪記4時間スペシャル』内で再放送されていたのを僕も観たのだけれど、まさかこんなすぐにこの店にお邪魔できるとは思ってもみなかった。この独特の活気はどこでも味わったことないものだ、一人一人の酔客が実に楽しそうなんだ。

名店だるまで、僕は伊勢さんから句会『舟』の北海道支部の立ち上げ構想に力を貸して欲しいと正式な依頼をいただいた。浅草の月例会運営に深く関わっており、吉田類さんと伊勢幸祐さんに俳句を師事する北海道新聞東京社会部(文化・ほん欄担当)の岩本茂之さん(俳号:碇)の三月からの本社札幌勤務が決まり、かねてからの構想実現が加速度を増したのである。なんとも光栄な話だった。

昨年十一月十四日、吉田さん、伊勢さん、岩本さんにめぐり逢った日、しかも生まれて初めて俳句を詠んだその日に、吉田さんに俳号北星をいただき、二回の句会で二回とも自作に得票があって、すっかり『酒場詩人のすすめ』(吉田さんの著作)にはまってしまった僕がいた。そうしたビギナーズなんとやらの有頂天にも優しいのが舟の最大の特徴だろう。

だるまの酎ハイのあと、もう一寸だけ、のわがままに付き合ってくれた伊勢さんは、たった三人の句会を始めた店に案内してくれた。ライターを生業とし俳句をたしなみ、東京の町歩きとそこに息づく酒場を愛する伊勢さん。こんなにおだやかで知的な紳士にひさしぶりに出逢った。この上なく嬉しい時間を過ごした僕は、終わりかけの地下鉄に飛び乗るべく、二人小走りに駅へ急いだ。


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