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2021-04

弥生三月東京日記5



浅草の千束通りに星野銅銀銅壺店という銅や銀を使った食の道具を商っている店がある。同姓のよしみじゃないけれど、これまで僕はこの店で銅のおろし金と卵焼き器をふたつ購入した。とっておきは二つ目の卵焼き器だ。僕が日本一と断じている蕎麦屋、神田まつやさんの小判型の卵焼きの型を作っているのは、この星野さんなのだ。

おろし金の目が甘くなったので、そのことについて聞きに伺ったとき、星野さんにそのことを聞いて僕の道具道楽の虫がうずいた。凄い。あのまつやさんの卵焼きを自分のうちで作れる! むろん、まつやさんからの発注ありきなので、けっきょく一年以上待って僕はその卵焼き器を手に入れた。


三月八日月曜日。

IMG_9184.jpg

ひさびさに本家の卵焼きが食べたくなった。
でも現在はまつやの品書きに卵焼きは載っていない。どうしたら食べられるかを披露するとまつやさんの迷惑になるのでここには書かかない。まつやは相席が基本だ。

IMG_9191.jpg

僕の真向かいに座った二人目の紳士が、僕に供された卵焼きに羨望のまなざしを送っている。わさび芋、鳥わさ、焼き鳥。その紳士が、後発なのにまったく僕と同じものばかり注文するので、なんとなく好感を抱いていたところで目が合った。そのタイミングを待ち構えていたように彼は言った。

「その卵焼きはメニューのどこに載ってるんですか?」

IMG_9202.jpg

僕は質問に答えつつ、自分の卵焼きをひと切れお裾分けした。
おかげで神田まつやではいつも孤独酒を楽しむ僕が、珍しく話し相手を得てさしつさされつした。



吉田類さん主宰の句会『舟』事務局の伊勢さんと再び待ち合わせをしていたので、僕は蕎麦屋酒では御法度の長っ尻をせずにまつやを切り上げることが出来た。まつやの時間はいつでもあまりに僕を幸せな気分にさせるので、たいがいは野暮な酒呑みに堕落してしまうのだ。

午後三時、神田三省堂前。
無類の本好きとお見受けする伊勢さんらしい待ち合わせ場所だ。
僕らはランチョンでビール一杯分だけ話をした。午前中をかけて書き上げた句会北海道支部立ち上げに関する企画書めいたものを手渡しして、簡単に説明する。これからが楽しみだ。

IMG_9225.jpg

伊勢さんのおだやかな笑顔と物腰に触れると、こちらまで知的で文学的な人格になれそうな錯覚に襲われる。


さあ、これから横濱。


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