母との旅 2010

かつて母と三度飛行機に乗った。
最初は僕が三十くらいの頃、一緒に香港に行ったとき。二度目は2007年11月、横須賀の病院から小樽の施設に母を搬送したとき。三度目は昨年六月、遺骨になった母を、神奈川県三浦海岸の父が眠る霊園に連れ帰ったとき。
両親ともにいなくなって、一人っ子の僕にはもう実家というものが存在しないので、昨年六月の帰省(上京?)の折りには、母の四十九日、納骨までの数日、ホテル暮らしをしていた。
もちろん、泊めてもらえそうな親戚や友人の当てがない訳でもないのだけれど、特別な「手荷物」を携えていたこともあり遠慮した。かといって、昼間に仕事や用足しに外出する際、ホテルの部屋に放置しておくのも気が引けて、僕は母を連れて移動した。
それと分からないように梱包していたので、そのちょっとした大荷物を持参したまま人と会ったし、宵には居酒屋で酒を飲んだ。
四十九日、納骨の前日には、僕が投宿した三浦市三崎港の老舗旅館に、母と面識交流のあった高校大学の友人が何人か集まってくれて、ようやく開梱した母を床の間に宴を持った。
そして今年。四月一日。
もう共に飛行機に乗ることもないと思っていたら、一周忌の法要には位牌が必要とのことで、ふたたび母と海を渡ることになった。
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