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2021-04

再会。


ホッピー仙人を後にして、待ち合わせの店に急ぐ。先月初めて訪れた、横濱市立吉田中学校の野球部時代の一年先輩の古正史次さんの店『酒 膳 童 史(ふみ)』である。

三月に三十五年ぶりに再会した先輩に僕は礼状を書いた。今度上京する際には、常連の同窓生の誰かに逢いたいと。それに応えて古正先輩から電話をもらい、四月二日午後七時が指定された。野球部のさらに一年先輩だった人の妹で同級生のNさんが来ることだけは知らされていたけれど、それ以外に誰が呼ばれているかも分からなかった。

IMG_0039.jpg

高ぶる気持ちを抑え、意を決して扉を開くと、常連らしき見知らぬおじさんと若者が三名、カウンターだけの店をすでに陣取っていた。店主の古正さんが「おお星野、よく来たな」と笑顔で左奥の席に促した。そこには五名分の箸が用意されており、まだ誰もいなかった。こっちが遅刻と気負って来たのにちょっと拍子抜けだ。

一番奥に座り、古正さんとワインで乾杯。常連さんは店主から話の成り行きを聞いているらしく、これから起こるであろう三十五年ぶりの再会の瞬間を見届けてやろうという素振りで、ときどき僕に話しかけてくれる。

やがて扉が開いて女性が二人現れた。中学の同級生がそのまま年輪を重ねた姿がそこにあった。前述のN嬢ともうひとりがY嬢。「誰だか分かる?」とN嬢が尋ね「もちろんだよ」と僕。

でもその一方で、その二人がセットで現れたことに関しては、当時を思い起こしても僕の頭の中では関係が繋がらず不思議に思えた。そうそう、吉田中野球部では、歴代キャプテンがキャッチャーを務める習わしがあった。二人と話し始めるうち、僕とバッテリーを組んでいたエースのOと、どちらも一時期付き合っていたという共通項が見つかった。しかもYさんは、二年生の時に僕が付き合っていたバレーボール部の I さんと仲良しだった人だ。

遅れて現れたのはT嬢で、一緒に暮らしているというO君(エースのOとは別人)ともどもやはり同級生でよく覚えている。同席するはずのO君は残念ながらその晩は来られなかった。

僕が通っていた日本で一番古いガス灯のある横濱市立本町小学校に、O君は何年生の頃だったか東京から転校して来た男だ。当時誰も見たことのなかったジージャンを身にまとい、それはどう考えても自分たちの知らなかった、新しく、格好いいファッションだった。その後しばらくして、全校で、さらにしばらくして全国で、ジージャンが流行した記憶がある。 

N嬢もY嬢もT嬢も、来られなかった I 嬢も、訊くにつけ語るにつけ、女性陣はみなそれぞれに人生の辛惨をくぐり抜けて来たらしい。それでいて同級生という横の繋がりを絶やさず、またO君同様、同級生と生活をともにしている男女も少なくないようだ。

中学三年以降、この界隈から離れてしまった自分には、そうした諸々の繋がりの中で生き続けている彼や彼女たちこそ、これぞハマっ子と思われ、なんともうらやましい気がした。

おんなじ年齢の女性たちに、三十余年の歳月を越えて「ホシノ君」と呼ばれる不思議なおもはゆさは甘美ですらあり、今宵の酒の気だるい酔いとともに、もう少し浸っていたいと願わずにはいられなかった。



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