GWの馬さん。

五月四日の午前十一時前。
横濱中華街は馬(まー)さんの店、龍仙へ。
ちょうどひと月前、母の一周忌の帰りに立ち寄ったときは馬さんに会えなかった。「馬さんに渡してください。皆さんでどうぞ」と、店の人にお土産(白い恋人)と名刺を渡して帰ったのが功を奏したのか(笑)、ホールの女性の笑顔が毎月よりも若干増量している気がしたし、「おじいちゃん、もうすぐ来ますから」なんて教えてくれたりするのだった。

青島ビール。トマトと卵の炒め物。焼きビーフン。紹興酒。
夜明けまで同窓会してたのに、お元気ですねえ。

ゴールデンウィークの中華街は浅草同様の混雑で、昼を過ぎて馬さんの店にも長い行列が出来ていた。入口の横にある定位置にいた馬さんは、いつもよりもおしゃれしているようで素敵だった。
「マアさん!」と声をかけると、ウワァオみたいな嬌声をあげた馬さんが立ち上がりながら「ホシノセンセイ!」と大声で叫んだ。行列の人々はいったい何者かと思ったらしく、一斉に視線が僕に集中した。最後に逢った三月から僕を「センセイ」と呼ぶようになったのだけど、今回は名字までセットでこちらもまんざらではない。

行列の一人が馬さんから突然シャッターを押すように促され、僕はいつも通り恐縮しながら自分のカメラを手渡す。馬さんに指名されたその人は、最初は多少困惑しながらも、馬さんが「センセイ」と叫び、肩を抱く男とのツーショットを任されたことを光栄に思ってくれたのか、少し嬉しそうに「ハイ、チーズ」とうわずった声で言った。
「六月にまた来ます。
イノリ イツモ シアワセ」
と馬さんのオハコを奪って僕が立ち去りかけると、馬さんは小走りに追いかけるような感じで前に出ながら、大声で叫んで頭を下げた。
「ホシノセンセイ ト ワタシ ナカヨシ マタスグアウ」

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