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2021-04

古今亭八朝師匠と女将さん。



昨日電話が鳴った。七月にわがもっきりバルで一席お願いしている噺家の古今亭八朝師匠からだった。

師匠とは長い付き合いだ。
東京の広告屋時代にサントリーさんのイベントの司会をお願いしたのがご縁で、僕の台本、進行でずいぶん現場をご一緒した。それ以来だからかれこれ20数年も以前にさかのぼる。ただ、1992年に僕が発作的に北海道に移り住んでからはご無沙汰していた。6年ほど前、北海道でもっと気楽に落語を楽しめる催しを開催したい! と考えたとき、自分には強い味方がいたことを思い出した。

15年ぶりにもなろうというのだから、現在の連絡先が分からない。落語協会にメールで問い合わせたら、数日後,いきなりご本人から事務所に電話がかかって来た。

「なんだよ、突然いなくなっちゃったと思ってたら、北海道だって!? びっくりしたぜ。あんたにゃ世話になったからなあ。今度は北海道で門戸開いてよ!」

その年、2004年に、師匠の師匠、古今亭志ん朝さんの意思を永六輔さんが引き継いだ形で旗揚げした『大江戸小粋組』の公演を、八朝師匠のお誘いで国立演芸場に観に行ったのが久しぶりの再会だった。

その後、「古今亭八朝と仲間たち」と題するホテルのディナーショーで、師匠やいっこく堂さん等と北海道での仕事が実現した。

落語家なんて言ったら、みんなしょうもない飲ん兵衛かと思いきや、意外や八朝師匠は下戸なのだ。そのかわり奥さんが飲み助で、ディナーショーの後に新富良野プリンスホテルのラウンジで、横濱にぎわい座の高座の後に怪しいOKAMAバーで、上野の渋い酒場からカラオケ屋まで…都内ではいつも大真打ちの八朝師匠の運転ではしごさせてもらったものだ。師匠はジュースで僕と女将さんがワインやら日本酒やら何でもござれ。師匠と女将さんはいつも一緒だった。


昨日の電話で師匠はまず、こういった。
「7月の北海道の件でご相談なんだけどさ。あのね、驚かないでね」
なんだか僕は息をのんだ。
「昨日の午前零時40分に、女将さん亡くなっちゃったんだ。突然倒れてさ、救急車で運ばれてさ…」

あまりの衝撃にそこから先はほとんど覚えていない。
師匠はたんたんと、もちろん女将さんも同行するはずだった北海道の仕事について、女将さんの代わりに身の回りのことを手伝ってもらう前座さんを連れて行こうと思うのだけど、と事務的に話していた。

師匠の話を聞く代わりに、僕の頭の中では、つい先日師匠が言っていた「いくつかの仕事の合間に、時間が作れるようだったら、カミさんが旭山動物園に行きたいって言ってるんだ。カミさんは北海道が大好きだからさ、すんごく楽しみにしてるんだ」という言葉がグルグルしていた。

僕は話の終わりにようやく通夜の日時と場所を聞き出した。
何か言わなくちゃ、言わなくちゃ、と思いながら言葉が見当たらず、口をついて出るのは、ただ「すみません、すみません」だけで、意味が分からない。

師匠、すみません。
こんなときの大人の挨拶も出来ず。
本当に情けない。

吉田類さんの句会で上京しているのだけど、日程を延ばして8日の通夜だけは参列しようと思う。


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