新年の丸井今井 ? 「瀬戸國勝漆器展」。
(「大晦日のてふてふ」からの続き)
1996年1月、僕は塗り物のぐい呑みに見とれていた。
札幌の百貨店・丸井今井「加賀老舗展」でのこと。
1992年7月から、僕は小樽市民になっていた。
東京の会社を辞め、アパートをたたみ、横浜の実家を離れた。
札幌の出版社にもぐり込み、少しは北海道生活に慣れてきた頃だ。
「いいでしょ、その器」と後ろから声がかかる。
なんとなくこの状況、その声、どこかで…。
斜め後ろへ振り返ると、やはり覚えのある顔がそこに。
忘れもしない8年前の輪島の大晦日、
生涯で最も強烈な蕎麦のもてなしの記憶。
「てふてふ」のご主人だった。
「かあさん、ほら覚えてる?」
と話しかけた先には、あのときの奥さんがいた。
「うんうん、えと、お名前は確か…ホシノさんよね」
びっくりした。まさか名前まで。
「てふてふ」主人、瀬戸 國勝さんは、
この8年の間に漆器作家としての評価を一気に高め、
作品は「サライ」「ミセス」などのクオリティの高い雑誌等々で
広く紹介されるようになっていたのだった。
恥ずかしながら、全然そんなこと知らなかった。
僕にとっては、ただ、8年前の大晦日、突然見知らぬ僕を招き入れて、
蕎麦と酒をふるまってくれた、素敵なご夫妻でしかなかった。
それもたったひと晩のご縁。
しかも、あのとき僕は東京在住の横浜人で、
お逢いしたのは石川県輪島市。
それが8年後、
小樽市民になった僕と札幌でばったりなんて…。
「坂本は覚えてる?」
もちろん。あの料理の天才のことだ。
「坂本は何年か前から、輪島の隣の珠洲で旅館を始めたんだ。
一日三組限定。うまい料理を囲炉裏端で食わせる。
これが当たっちゃった。必ずあの蕎麦も出すんだよ。
その宿で僕の器も使ってもらっているんだけど、
風呂も僕の作品でね。漆塗りなんだ。この前もサライに載ってたな」
その年の暮れ、
僕は能登半島に向かった。
輪島に一泊、珠洲の「さか本」で二泊。
瀬戸さんの漆の風呂につかり、
囲炉裏端で和を中心とした圧倒的な「坂本料理群」に舌鼓を打ち、
「あの蕎麦」に再会して感涙にむせんだ。
※ 「さか本」は、2月6日発売の雑誌「和楽」3月号に掲載されるそうです。
興味のある方はぜひ !!
それから毎年一月は、丸井今井の「加賀老舗展」に足を運ぶ。
もちろん瀬戸夫妻に逢いに行くのだ。
旨い物をいただきに一緒に街へ出た年もあった。
実は今日も顔を出してきた。
何年か前から、瀬戸さんの出品は物産展を離れて、
同時開催の「瀬戸 國勝 個展」という形に昇格している。
昨年は、ニューヨークの高島屋で個展を開いた。
ほんの少しずつだけど、
ホシノ家の食卓に瀬戸さんの作品が増えてきた。
ぐい呑み、椀、醤油差し、そばちょこ…。
現在、札幌丸井今井一条館8階にて、
「瀬戸 國勝 展」開催中(1月16日月曜日まで)。

1996年1月、僕は塗り物のぐい呑みに見とれていた。
札幌の百貨店・丸井今井「加賀老舗展」でのこと。
1992年7月から、僕は小樽市民になっていた。
東京の会社を辞め、アパートをたたみ、横浜の実家を離れた。
札幌の出版社にもぐり込み、少しは北海道生活に慣れてきた頃だ。
「いいでしょ、その器」と後ろから声がかかる。
なんとなくこの状況、その声、どこかで…。
斜め後ろへ振り返ると、やはり覚えのある顔がそこに。
忘れもしない8年前の輪島の大晦日、
生涯で最も強烈な蕎麦のもてなしの記憶。
「てふてふ」のご主人だった。
「かあさん、ほら覚えてる?」
と話しかけた先には、あのときの奥さんがいた。
「うんうん、えと、お名前は確か…ホシノさんよね」
びっくりした。まさか名前まで。
「てふてふ」主人、瀬戸 國勝さんは、
この8年の間に漆器作家としての評価を一気に高め、
作品は「サライ」「ミセス」などのクオリティの高い雑誌等々で
広く紹介されるようになっていたのだった。
恥ずかしながら、全然そんなこと知らなかった。
僕にとっては、ただ、8年前の大晦日、突然見知らぬ僕を招き入れて、
蕎麦と酒をふるまってくれた、素敵なご夫妻でしかなかった。
それもたったひと晩のご縁。
しかも、あのとき僕は東京在住の横浜人で、
お逢いしたのは石川県輪島市。
それが8年後、
小樽市民になった僕と札幌でばったりなんて…。
「坂本は覚えてる?」
もちろん。あの料理の天才のことだ。
「坂本は何年か前から、輪島の隣の珠洲で旅館を始めたんだ。
一日三組限定。うまい料理を囲炉裏端で食わせる。
これが当たっちゃった。必ずあの蕎麦も出すんだよ。
その宿で僕の器も使ってもらっているんだけど、
風呂も僕の作品でね。漆塗りなんだ。この前もサライに載ってたな」
その年の暮れ、
僕は能登半島に向かった。
輪島に一泊、珠洲の「さか本」で二泊。
瀬戸さんの漆の風呂につかり、
囲炉裏端で和を中心とした圧倒的な「坂本料理群」に舌鼓を打ち、
「あの蕎麦」に再会して感涙にむせんだ。
※ 「さか本」は、2月6日発売の雑誌「和楽」3月号に掲載されるそうです。
興味のある方はぜひ !!
それから毎年一月は、丸井今井の「加賀老舗展」に足を運ぶ。
もちろん瀬戸夫妻に逢いに行くのだ。
旨い物をいただきに一緒に街へ出た年もあった。
実は今日も顔を出してきた。
何年か前から、瀬戸さんの出品は物産展を離れて、
同時開催の「瀬戸 國勝 個展」という形に昇格している。
昨年は、ニューヨークの高島屋で個展を開いた。
ほんの少しずつだけど、
ホシノ家の食卓に瀬戸さんの作品が増えてきた。
ぐい呑み、椀、醤油差し、そばちょこ…。
現在、札幌丸井今井一条館8階にて、
「瀬戸 國勝 展」開催中(1月16日月曜日まで)。


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