ジョン・レノンとおでん。

1980年の12月8日は31年前ということになる。
その日、第二外国語のフランス語の教室では、誰もがジョン・レノンの訃報を口にしていた。 授業が終わって追悼ということになり、僕とテラオは大学の近所のおでん屋台に座っていた。
大根、ちくわぶ、コップ酒。 東京、師走のすきま風。
トランジスタラジオからジョンの歌声が流れ続けていた。
それから毎年12月8日はテラオと一杯やるのが決めごとになった。 就職後も、毎度場所は変われど、なんやかやと長く続けた。
ただし、19年前に僕が突然道産子に転身して以降の12月8日は、電話口で「シワス!(仲間内の12月の挨拶)」と叫ぶかファクシミリでの交流に留まっている。
道産子3年目晩秋。
札幌の素敵なおでん屋を雑誌取材する機会があった。
おでんからの連想ゲームで1980年12月8日の屋台のことにも触れた。 その原稿を「だから今年の12月8日はこの店に来よう」と締めた。
16年前の12月8日。僕は実践して「一平」のカウンターにいた。
少し酔いが廻ってきたころ店の電話が鳴った。店主の谷木さんが「ホシノ君に」と受話器を手渡してくれる。 え? ひとり戯れに立ち寄っただけなので誰も知らないはず…。
テラオからだった。
「あいつのことだからいるに違いない」
記事を読んだ東京のテラオが、 誌面で紹介した番号にかけてきたのだった。 電話の向こうから懐かしい声。
「やっぱりな。シワッス!」
今宵一平に行きたいけれど、財布に千円しか入ってない。
(2011年12月8日)
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