路地裏のラフマニノフ。

月曜日、だれも客人がいなかったので、プライベートモードの大音量でラフマニノフのピアノ・コンチェルトを聴いていた。
そこにお取り引きさせてもらっている酒屋店主の赤坂さんと、店主が昨年も連れ来てくださった小樽潮稜高校の五十年来の同級生であり千葉県在住のFさんが扉を開けた。
Fさんに続き、まだ扉から身体半分も踏み入れていない赤坂さんが瞬間的につぶやいた。「ん? ラフマニノフのピアノ協奏曲…二番だな」
僕は嬉しくなって、「赤坂さん、しかもこれラフマニノフ本人が弾いてるんですよ!」と返す。赤坂さんは激しく感動してくれて、しばし音楽の話になった。
Fさんは口では辛口なコメントを連発しながらも、妙に弊店を気に入っていただき、昨年も小樽滞在中の毎晩ご来店くださった。
火曜日の晩はお独りで来店。
一番奥の席で「風呂でいただく湯豆腐(土門さん!)」「江戸道具の酒道流でたしなむぬる燗」「老舗蕎麦屋風桐箱パリパリ焼き海苔」の大江戸三点セットを、
「なんだかままごとみたいに嬉しくなっちゃうな。いやだいやだと思いながら、あんたの戦略にまんまとハマってる自分が口惜しい」なんて言いながら、金曜まで居るのでまた来ると思うよ、と帰り際ニヤリと言い置いた。
昨水曜の晩、齢六十九歳の盟友がふたたびお二人で来店。酒屋店主がぼそり。「星野さん、あれかけて、ラフちゃん」
という訳で、小樽花園、路地裏の侘び庵には、ここ数日ロシアの偉大なピアニストがたびたび降臨するのである。
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