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2021-04

わたしの蕎麦包丁1

 
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三十歳の頃、
木曽路の開田高原というところでキャンプをしたことがある。
まだ、道民になる以前のことだ。
大学を五年で卒業する直前、
卒論提出の日にひょんなことから仲良くなり、
一緒に酒を飲んだ勢いでそのままヨーロッパの長旅を共にした学友が、
地元に帰って名古屋で就職していた。
春先まだ厳しく冷え来むキャンプの夜にひとり酒を飲みながら、
ここなら両者の中間?(横浜と名古屋)地点あたりだろうということで、
翌日電話して、名古屋の友人を呼び寄せた。

一人旅をしていると妙にテンションが高くなることがある。
そんなわがままを受け入れて、
即日素直にやって来てくれる友人は得がたいが、
あの日のテンションは蕎麦打ちが原因である。

開田高原あたりは蕎麦の里で、バイクを飛ばしていると、
その頃はまだ珍しかった蕎麦打ちの教室を見つけた。
飛び込みで初めて体験してみたのだが、
まず、「蕎麦を打つ」行為が激しく楽しく感じられた。
次に「自分で打った蕎麦」が感動的にうまかった。

その後、休日の手慰みに蕎麦を打ってみるのだが、
実に無惨だった。
開田高原では、マンツーマン付きっきり、
手取り足取りに教えられた訳で、
冷静に考えれば、とうてい「自分で打った」とは言いがたかった。
落ち込んだ。へこんだ。
でも、そのうち忘れてしまった。

それから数年。
僕は北海道民になっていた。
雑誌の取材で蕎麦職人に会う機会が幾度かあり、
それが日本一の蕎麦生産地に今住んでいるという実感に拍車をかけ、
再び僕の中に蕎麦打ちへの思いがむくむく湧き上がった。
通信教育で蕎麦打ちの指導を受けたりしながら、
間に合わせの道具で修業は再開されたのだけれど、
今ひとつ上達しないのは「道具」のせいだ、と都合良く結論した。

そうだ、蕎麦包丁を手に入れよう。
マイ包丁ならずんずん上達するに違いない。

それからは、モノの本を頻繁にひも解いてみた。
札幌の有名刃物店を覗いてもみた。
蕎麦打ちの何たるかもよく分かっちゃいないのに、
いまひとつピンとくる包丁に出逢えずにいた。
そんなとき、札幌の百貨店で江戸の物産展に足を運んだ。
老舗の食べ物に混ざって、職人さんの実演販売がいくつか。

そこで「吉實」の吉澤操さんに逢った。
(つづく)
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